木曜日, 5月 04, 2023

2023年 7 冊目 (376)

すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT 単行本(ソフトカバー)
森岡隆三 (著), 寺野典子 (その他)
徳間書店 (2022/6/9)

2002年日韓ワールドカップ。僕は昔、部活などで人の名前を覚える際にその人が履いてる靴を記憶のツールに使っていた。如何せん自分が靴好きであるからだが。当時、ラクロスに日常を注いでいた自分はもちろん靴好きだから練習・試合で履くスパイクもこだわりを持ちたかった。人と違うものを履きたい。好きな色は目立つ色、でもおしゃれに。そんな中で僕の目に留まったのはオレンジを配色するプーマのスパイク。それを履く森岡選手。日本代表でキャプテンを務める森岡選手。激戦のヤフーオークションで買いそこねた、オレンジ色のプーマのスパイク。

その後、ポートランドでサッカー(インドアやけど)をがちりプレーし、その後そのチームのマネジャーをやるにいたり、海外で活躍する日本人選手を応援し、女子のW杯をカナダに観に行き、それなりにサッカーを感じてきました。そんな中で森岡選手の名前が遡上に上がることはなかった。あの2002年のあとどのような選手生命を送ったのだろうか - なんて考えたこともなかった。

そこにふっと現れた鈴木啓太さんのYouTubeで森岡選手との対談動画。

ただただグッと来た。この人の生き方に共感を感じた。そんなに紆余曲折の人生やったんや。「六月の勝利の歌を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメント」というDVDを時々見返す時の森岡選手からはこの話は今まで全く感じられなかった。でも、先日見返したら「ワールドカップの光と影」と言う森岡選手のシーンが。しかも興奮を持ってみたベルギーとのグループリーグ初戦の途中で彼が怪我をしたことなんて日本が引き分けて勝点を取ったことで完全に覚えてなかった。

この森岡選手の本を読んで感じたこと。生きた経験そのものが劇的でそこから学びたい - これがこの投稿の前のキム・フックさんの本とする。それと比較して、不器用に生きたその上手く行かなかった経験を語る中で読んだ人に語りかける - これが森岡さんの本だと思う。

同じような本はきっと世の中にあるけど、これほど丁寧に誠実に書かれた本に僕が心を惹かれました。しかも、今現在も森岡さんは現役で選手と向かっている、これまでの経験を還元するために。

サッカーをもっともっと味わい尽くしたい。

この一言にサッカーの深さ・人生の深さ・人の深さを僕は感じました。
本のタイトルでもあるPLAY EVERY MOMENT. 僕のLIFE IS A MOMENTに共鳴するフレージング、なので機会があればお話したいと心から思います。
2002年に言えなかった「感動をありがとう」を、今を生きる森岡さんに言える機会があればそれはmomentになるんかな。

えっ?オチはないっす。。。



2023年 6 冊目 (375)

「ナパーム弾の少女」五〇年の物語 単行本 
藤 えりか
講談社 (2022/6/8)

人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇である。
チャップリンの言葉であると記憶していて、僕はこの矛盾のみえる事実を感じてきたことがあるので好きな言葉でもある。
この本は喜劇として変貌を遂げるなんて到底不可能な物語であるが奇跡と言う名の奇劇である。これがノンフィクションであることを忘れるほどの出来事である。

「ここだけが自分の場所ではない」
一歩を踏み出せれるか、一言聞けるか、リスクを取れるか。この本を手にした直後から目の前に立ちはだかるこれらの言葉たち。
友人のご子息の進路の話を聞いた時。その子にアドバイスをしながら自分が歩んできた道を振り帰った時。東京大学の入学式での祝辞を聞いた時。この次に感想を書く本のきっかけになった動画を見た時。

この本の物語の主人公 - キム・フックさん。悲劇の中でここまで希望を見出せた人がいるだろうか?トライした人はいると思うし、失敗・挫折した人もいっぱいいると思う。そこには運やタイミングなどの要素は欠かせない。でも、このキム・フックさんは動くべきところで動いて来れた。動く決断を的確にこなしてきた人。だから今がある。

僕にとっての驚きは、彼女の話はコロナ禍を経て今も地続きで継続中であること。ベトナム戦争って昔のイメージだが起きた年を考えると体験者は今も身近にいて当然だ。いかに日常が当たり前に過ぎていっているのか。想像力を働かせないといけないと思いつつ、今を的確に乗り越えていきたいと思ったのでした。

この本に出会えてよかった。Life is a moment