木曜日, 5月 04, 2023

2023年 6 冊目 (375)

「ナパーム弾の少女」五〇年の物語 単行本 
藤 えりか
講談社 (2022/6/8)

人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇である。
チャップリンの言葉であると記憶していて、僕はこの矛盾のみえる事実を感じてきたことがあるので好きな言葉でもある。
この本は喜劇として変貌を遂げるなんて到底不可能な物語であるが奇跡と言う名の奇劇である。これがノンフィクションであることを忘れるほどの出来事である。

「ここだけが自分の場所ではない」
一歩を踏み出せれるか、一言聞けるか、リスクを取れるか。この本を手にした直後から目の前に立ちはだかるこれらの言葉たち。
友人のご子息の進路の話を聞いた時。その子にアドバイスをしながら自分が歩んできた道を振り帰った時。東京大学の入学式での祝辞を聞いた時。この次に感想を書く本のきっかけになった動画を見た時。

この本の物語の主人公 - キム・フックさん。悲劇の中でここまで希望を見出せた人がいるだろうか?トライした人はいると思うし、失敗・挫折した人もいっぱいいると思う。そこには運やタイミングなどの要素は欠かせない。でも、このキム・フックさんは動くべきところで動いて来れた。動く決断を的確にこなしてきた人。だから今がある。

僕にとっての驚きは、彼女の話はコロナ禍を経て今も地続きで継続中であること。ベトナム戦争って昔のイメージだが起きた年を考えると体験者は今も身近にいて当然だ。いかに日常が当たり前に過ぎていっているのか。想像力を働かせないといけないと思いつつ、今を的確に乗り越えていきたいと思ったのでした。

この本に出会えてよかった。Life is a moment

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