火曜日, 6月 27, 2023

視覚的雑味と文字的純度

 沈黙のパレードを観ました。今回の視聴の前に、原作は2回読みました。

原作のすべてを約二時間ほどの時間に詰め込むには無理があります。なので、原作の期待を持っての視聴は全体的に薄味に感じてしまいます。しかし、原作での読書体験で得られる単眼的なストーリーと違って、映像においては非常に多くの無駄・不要を含んだ多くの複眼的な情報として濃い時間として過ぎてゆきます。

原作を読んだ上で観たために文章の持つ濃密さと映像の持つ奥行きを体感しました。もし映画を先に観て本を読んだらどうなっていたのかなって。

ただ、過去いつも原作が先になるケースが多いので(でも、無理に逆を作る必要もないし)。

僕の仕事で言ううなら論文と学会等でのプレゼンテーション。7月に自分がこの状況に巻き込まれるので、今回の経験を踏まえてよい作品を世に出したいです!!

がんばれーーー!

日曜日, 6月 18, 2023

2023年 8 冊目 (377)

ためいき坂 くちぶえ坂―松鶴と弟子たちのドガチャガ 単行本
笑福亭 松枝 (著)
浪速社; 改訂版 (2011/7/1)

敬愛してやまなかった上岡龍太郎さんの訃報を目にする前日、いつものようにハードディスク内のパペポを適当に選びそれを効果音にしながら作業をしていた。その選んだ回はこの本の初版(僕が手にできたのは増版されたもの)に際し本の面白さの紹介を兼ねて鶴瓶さんが上岡さんに朗読を促したのでした。

上岡節で語られるその一節は一瞬で僕を引き込みこの本を手にして読んでみたいと思わせるほどの力を持ち、さすが上岡龍太郎と思ったのでした。

近日中に日本からこちらに発送する荷物にタイミングよく詰めれるのでそそくさとアマゾンで発注して眠りについたのでした。そしてふと目覚めたタイミング、部屋の暗さからまだまだ寝れる。そんな時はテクノロジーにアクセスせず再度眠りに向かうのですが、無意識にふとメールを開くとおかんからメールが。

「えっ!?」

僕がパペポ好きで龍太郎師匠が好きなことを知っていたので教えてくれたのでした、あなたのすきなあの語り部はもうこのにいないだと。



故人を偲びその思い出と存在をこの世に残すという大きな価値をこの本に感じました。6代目・松鶴師匠という個性とそこに集った弟子たち。一昔前の出来事でその一昔の残りで育った僕だからこの本をケタケタ笑い・しんみり感傷的になれるのかなって。今のZ世代はこの本をどう思うのかはある意味の好奇の種かなって。

そして落語の名跡を継ぐという過程の難しさ - 如何せん「松鶴」という個性と存在。それは代替の要素が無いほど各弟子に染み渡った唯一無二な関係性。それを踏まえた上での7代目襲名にかんする一部の話が綴られます。そうか、残すべき事実とは。


僕も師匠と言えるボスが二人います。「系統は同じやけど血統は違う」が最適な表現でしょうか。僕は二人の影響を受けて育ってます。だけど、引き継ぎつつ己の個性をでやっていけるか五里霧中な現実。筆者の松枝さんは僕は一番良い時期に松鶴師匠の門下に入ったのだと感じました。鶴瓶師匠はその「よい時期の最後っ屁」の最高傑作。僕も良い時期の二人のボスにオーバーラップして関われた稀有な存在。

サバイブします!ありがとう、龍太郎師匠!
あっ、これ松鶴師匠の本やった。。。すんまへん!