水曜日, 6月 10, 2015

23冊目2015(210)

春画に見る江戸老人の色事 (平凡社新書) 新書 
白倉 敬彦 (著)
平凡社 (2015/1/17)

タイトルが示唆するように春画を解説していきます。

そこでおもしろいのは春画はフィクションであると言う点。エロ小説みたいなものです。でも、小説には時代背景が色濃く反映するので解説が可能になるわけで。現代の子が20年ほど前の小説読んで「携帯電話使えばええのに。」と思うそれがミソ!みたいな。

読み進める中で変な描写だったリがあったりすのです。完全なエロを目的としているのなら萎えるような。
ストーリー性とかとは違った描写が。そこの解説がふーーんとは思うのですが、そういったものなんかないなと。
最後の解説をよんでなるほど納得!どちらかというと笑いのために使われたツールの一つであったと。
そこに描写される老爺や老婆の姿。なるほどと。
この点に関しては最後にしてやられた感じでとても勉強になりました。使用目的の理解。
どんな文化やトレンドにも大事です。

かといって全てが全てそうではなかったのも真理でしょう。
現代のエロビデオ。熟女ものや爺さんの男優さんもいるわけで。
読んでいる途中は現代のポルノはようやく昔に追いついた!?なんて思ってました。
規制と自由と時代とテクノロジーの相互作用ですね。そんな視点で色んな物事の歴史を辿ると違うレイヤーが引けるかも知れないと思いました。

最後に。この本が世に出たのは今年の1月。そして筆者は昨年10月に他界されていたのです。
その事実を知る前まで、文体がなんか上からというかドライだなと思っていたんです。
そう書いている筆者がここで描かれる老爺的立ち位置であり、自分を観て出てくる言葉もあったのだろうと。そうするとまた文体の謎も腑に落ちたのでした。

この読書体験はちょっと得がたいものなりました。筆者・白倉さんへ感謝です。そして、ご冥福を心からお祈りする次第です。献杯。

ってまだ今日は飲んでませんが。。。

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