木曜日, 3月 09, 2017

2017年8冊目(268)と3月11日

災害の経済学 単行本
馬奈木 俊介  (編集)
中央経済社 (2013/4/10)

自然災害は不幸な出来事であるがそれによって生まれる経済効果とか特需とか文化圏とかあるんちゃう!?そう思って検索したら出てきて思わず買った本。
僕が安直に思ったような話でなく、果たしてこの本は学術書でした。

試算方法とかモデルの構築とか勉強になったけど、読んでは止まり読んでは止まりで完読までいつもより数倍の時間を要しました。
日ごろ何気ない事を(ラフでよいので)数値化して、その幾つかを関連させてぼんやりした法則を作る。そして少し今後を予測してみる。意外と日常でしていることの本格的版です。
前半は行政や国が見る世界、章が進むに連れ日常に近くなるので入りやすくなりました。自治体レベル、企業レベル、地域レベル、個人でも想像できる範囲へと言った感じに。
言えることは1つの自然災害で考えないといけない問いの規模はとても広いということ。つまり、それだけ自分たちの知らないところ(無意識な部分)に問題が落ちていて、こういう時にしか気付かないし忘れてしまうのだなと。準備とは意識化の方法論。平和ボケって改めて恐ろしい言葉やなーと思ったのでした。

読み切って思ったこと、こういった学術の世界と一般社会の溝を埋めるのは何が担うのか?
一時はそれはメディア・マスコミ・ジャーナリズムの役割によってなされていたと思う。でも、今はその信用が議論される世の中。一般人が知識をつけるのと学術の世界もある距離感で一般人のコミットを意識する。仲介をなくす作業ですね。僕自身その役割を少しでも担えるようになれたらと思います。

いつ!?今でしょ!!(古い!?)

ここから以降は去年の4月に訪れた東北の写真を。

 

常磐線で上野から乗り換えなしで行ける最北の駅が竜田。左はそこから出てる代行バスの詳細。右は竜田駅構内にある線量計。

 

代行バスから観た景色。
左:街の風景。家屋や道路は全く無傷だけど人気が無い。初めてゴーストタウンを見た気がした。そしてその違和感。
右:除染によって発生した土の山。この塊はどこへ向かうのか。。。

 

左:このバスは福島第一原発の横を通ります。
右:原子力が看板に。それだけ原子力には力がありこの地にとって必要だった。それは関東圏の電力を賄っていた。冷静に電気について考えるべきだと思う。洗濯板出来ますか?熱中症が起こる夏にクーラー無しを言えますか?北海道の人や豪雪地帯の人に節電のため暖房を削れと言えますか?そんな文句を封印していた箱が弾けましたんです。。。

 

左:この日の最大線量でした。福島第一の近くでした。
右:第二原発もすぐ近くにあるのを忘れてませんか?僕は観た時にハッとしました。

 

福島を後にして仙台へ。そしてバスに乗って気仙沼に出ました。気仙沼へ赴いた訳は「2017年4冊目(264)」をよければ参照してください。
左:バスを降りた内陸の施設。これを見た時「ウソでしょ。。。」って背筋がぞくっとしました。筆者の顔はご想像にお任せします。。。
右:海に面した魚市場付近。左のところからテクテク歩いて20分ぐらいでしょうか。正直笑うしかなかった。。 。

 

右:魚市場に向かう道。この道にパンフレットのようにフェリーが居た。奥にある建物の1階はガソリンスタンド。そこの時計は地震が起きた時間で止まってました。僕が訪れた時はまだ残ってました。。。
左:気仙沼から南三陸を通って仙台に帰ります。この路線、運転手不足で数本が運休になるというアナウンスを車内で聞きました。仕事はあるのか無いのか。働くことお金があること。訳分からなくなりました。

 

右:去年4月の南三陸です。ようやく瓦礫が撤去されました。でも、この更地に誰が戻ってくるのか。そしてどんな都市計画を立てるのか?これをみて都市計画に前以上に興味を持ち、僕の住んでいるポートランドは恵まれていてバブルであると再確認しました。これに関しては「都市計画とオセロ」で来週中に自分が思う論考を残します。ポートランド。。。目的が無く住む人には下り坂だと思ってます。
左:南三陸町の防災対策庁舎。ここで最後まで津波の襲来を伝え続け、果たしてその津波に飲まれてしまった町職員の遠藤未希さんの話を知ったのは敬愛する青山繫晴さんの関西での番組でした。遠藤さんだけでなく多くの消防士・警察・医療従事者そして自衛隊の方々。ここに示せない人たちがモラルと心意気をもって震災・津波に対応されました。更地に立つ櫓。流されない記憶。この場所をバスの中からだけど目にできた事を糧にしたいです。


復興は続くし、被災された方々は「被災」という言葉との戦いになります。
いつまで被災者なのか。今週ニッポン放送のボイスの番組内で飯田浩司アナウンサーが被災地の語り部の方々の話を取材する中で生まれた問い。
僕ができる事とかでなく、離れたアメリカで何も出来なく傍観者だった自分との向き合い方。それが今回足を運ぼうと思ったきっかけ。でも、運んだから偉いわけでもなんでもない。名誉や価値とかでなく素直に行けたこと、あるはまだ行ってない行けてない事をわーわー話せて、ゼロサムでない未来について思いを馳せれる空気感の醸成があればいいなー。
南三陸大学・プロテインフロンティア研究所。もし発足したらアプライします(採用されるかは。。。)。
なーーーーーんて夢を語れる3月11日でありますように。

献杯 from US

3/10 10am: 誤字脱字、フォントなど修正しました。

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