月曜日, 6月 17, 2019

2019年9冊目(337)

東大VS京大 入試文芸頂上決戦 単行本
永江朗 (著)
原書房 (2017/1/10)

「はじめに」の中で筆者が“入試問題は時代をどのように反映しているのか”と疑問を抱いたおかげで、この本のタイトルを見て「なるほど、やられた」とニヤニヤしてしまった。サブカルチャーは時代を反映すると常日頃思っている事だが、それが入試に見ようと言う試みがとても愉快で即決である。

明治・大正時代の問題から始まり、高度成長期・全共闘・バブル期、阪神淡路大震災とオウム事件が起きた1995年を経て東日本大震災から2016年まで。

こうやって並べると出題者がその時代を思いどういう受験生を求めるかなど当然あって然るべきだと思う。ただ、受験生はそれを味わう余裕など当然ないし高校や予備校の先生もそこまで問題のチョイスを楽しめる余裕があるのかと言えば疑問が残る。

これだけ面白い資料は毎年いわば消費財として赤本の中に収められ、出題者の意図と離れた傾向と対策として残っていくのは甚だもったいないと。

筆者の永江さんがこのようにエッジを加えてくれたおかげて僕にはとても有意義な読書体験となり、このようなガイドこそ教養なのかもと思ったりする。

話は少し飛躍するかもしれないけど、毎年行われる漫才やコントのコンクールのネタのチョイスもこのように評論すれば時代を反映したカルチャーとなり教養となるかもしれない。AI持っていかれる前に誰かがして欲しいとズボラな僕は思うのである。

この本を読みたくなった理由は実は根底に僕自身の実体験が大きかった。。。

時効だと思うから書こうと思う。大学生時代、某予備校でバイトしていた僕は試験の時期になると赤本・青本を漁るように目を通していた。なぜなら課されるレポートに即したお題とそれに対する的確な解説を求める上でこの「受験の虎の巻」は効果的だった。神に誓って丸写しはしてないが、この検索の中から色んな面白い文章・解説に出会い実際にレポートを助けてもらったこの経験は受験で採用される文章の興味と共に、大学の選ぶ文章へに興味を抱いたのも事実だった。だからこの本にはやられた痛切に思ったし、まとめてくれた筆者に感謝でしかない。

受験生と言う当事者が文章を味わえない(味わえている人もいるかもしれないが)のは何とも大きな矛盾にも思えるが、ここで得られたアプローチは理科・社会・数学などにも通じるのか機会があれば問いかけてみたいなと。

この文章が受験に使われたら、出題者は僕ですわな。採用理由。。。自分LOVE。。。定員割れやな!!

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