日曜日, 4月 17, 2016

10th book on 2016(240)

野生めぐり: 列島神話の源流に触れる12の旅 単行本
石倉 敏明 (著), 田附 勝
淡交社 (2015/10/27)

読み終えてすぐに感想を書いていたらきっと、いや間違いなく違った色合いの文章になったと思う。
熊本での地震が今も現在進行形で進んでいるからに他ならない。

この本も東日本大震災が契機となって書かれた。
日本列島には長い歴史とともに存在し、自分が知らない想いもつかないほどの昔の先人が残した神話的な話がある。伝統はまだ思考の及ぶ感じである種の変化も受け入れそうに僕には映る。でも神話はそれらとは一線を画したもの。面白いのはそれをつなぐ神社はなぜが伝統的に近い存在になるように感じる。とすると、やっぱり物語性が必要なのだと。なんかその辺がハッとしてこの本の面白さがとても入ってきた。

この本に出てくる神話には山・海にクジラやオオカミといった動物たち。自然災害の元凶である反面で我々に恵みを与える母なる存在。今となれば文明や科学技術よってある種、対等むしろ制圧可能になった動物たち。彼らも脅威であり大事な食料源だった。
本の中に出てくる「殺めたシカを食べなければ、それはただの殺生だ」などまさしくではなかろうか。
神々しさと身体性とは昔はもっともっと近かったのかもと思う。そしてそれらの表現方法が祭り。その表現性にアート性の起源があるのではと。おもしろい!

7つ目の旅に出てくる鹿島灘の項。鹿島神宮・香取神宮の要石。この石を置き地中に潜む地を揺らす神あるいはナマズを沈めたと言う。
学問的に中央構造線という九州に始まり北関東で右へ曲がって終わる日本の骨格の一つ。その上にまさしく存在する伊勢神宮、諏訪大社、鹿島神宮。(この本の4項は諏訪大社。)
今回の地震とこの情報とこの本がリンクした時にした身震い。やはりこの日本国は昔から地震があり、人々は畏れ、そして祀ることで消化させてきたのだと。

強い震度があんなに立て続けに起こるような今回のタイプの地震は今まで聞いたことが無いのでビックリしている。反面、東日本大震災の津波による付加的な被害の存在と原発事故と言う人災的な部分を改めて感じざるを得なかったのでした。被災地の復興をただただ願い、日本のどこにいてもそのリスク必ず追わなければならない事実に向き合い、献杯します。

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