月曜日, 5月 19, 2014

3Dプリンター

最近世間を賑わした3Dプリンター。
ちょっとこれについて今日はコメントを残しておこうと思います。

というのも、うちの研究室には3Dプリンターが既にあってバリバリにプリントしてます。
さらに言うと、3Dスキャナーもあります。
なのでこの一連の作業について実際に体験したこから今回の日本での銃をプリントした出来事について少し深く考えることが出来ます。

まず、「3Dプリンターで銃をプリントすること」と「3Dプリンターでプリントした部品から銃を組み立てること」の違いを理解しないといけません。
前者の場合は単に銃の形をしたプラスチックの塊で弾を詰めることも撃つことも出来ません。3Dスキャナーは表面情報を得るだけで内部までは再現できません。
後者はプラモデルを組み立てるのと同じです。ただ部品が本来メタルである部分がプラスチックで再現(プリント)されたものなので、ちゃんと構築できれば撃てます。

要は何十もしくは何百といった部品をせっせとプリントして組み立ててようやく完成です。

部品のデータが無い場合、拳銃を分解してスキャンして得られたデータをスライスして試行錯誤の末に上手くプリントするファイルを得てさっき述べた「要は…」の段階まで行くのです。
ここでスライスについて説明しましょう。これはIKEAから見つけてきた以下のエッグスライサーの写真が分かりやすいと思います。



3次元の立体を2次元にしてそのデータをもとに、プリンターで笑点の大喜利で座布団を重ねるように印刷していきます。
このスライス作業。どうスライスするかによって出来に影響します。コンピューターの性能によってその速度が変わります。ようはいいパソコンが必要です。

3Dプリンターについて。これもwindowsがhome edition, professional editionそしてenterprise editionとあるように性能が違ってきます。
オールインワンで完成したものを買うのか、組み立てるのかにもよります。
僕たちは組み立てましたが、組み立てるために特殊な工具が必要でそれらも購入。
その作業だけで2週間ぐらいかかったのではないでしょうか。

プリントも大きさやスライスで何度も失敗しようやく完成。最初の印刷したものが出来るまで一ヶ月ぐらいかかりました。そしてもちろんそんな安いものではない!!時間と費用が必要です。

さてここまで見てきてそんなに簡単なものではないというのが感じられたなら、あの銃をプリントした事件を考えてください。
きっと彼は相当に苦労してあの試射までいったんだと思います。そしてとってもうれしかったんだと思います。だから冷静な判断が出来ず動画を上げちゃたんじゃないでしょうか。
警察はこれらのプロセスを踏まえて取調べしないと、今後の有益な情報は得にくいのではと思います。
巷で語られる3Dプリンターの問題点もこれらを踏まえて考えてみてください。
結局はどんな技術も誰がどのような目的で使うかです。肺移植に3Dプリンターを使って上手く成功を収めたケースもあったようですし。

最後の一枚は、僕たち研究室から発表したタンパク質の構造とねずみの骨をプリントしたものです。緑の方は印刷に30時間かかってます。


さて今日は何をプリントしようか?STAP…おっと失礼。。。それはできません!

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