日曜日, 6月 08, 2014

読んだ本・その21(164)

おどろきの中国 (講談社現代新書) [新書]
橋爪 大三郎 (著), 大澤 真幸 (著), 宮台 真司 (著)
講談社 (2013/2/15)

大御所3人の鼎談とでも言うのでしょうか。少し難しい箇所もあるかと思いますが中国という国・中国人の基質がどういう国なのかよく分かります。

まず決定的に感じたこと歴史の勉強の必要性。事柄の羅列でなくなぜそれが起きどうのような結果ををもたらし何への布石になったのか。
それぞれのストーリーがすっと入った時、そこに広がす世界は「そういうことか!」という理解になるのだと。
日本と中国をめぐる歴史の事案の数々。改めて不明を恥じました。

一番「ほーーーー!」っと思ったのは中国をユーロのように捉えた方が良いという事。
中国国内は文字である漢字を共通使用しているだけで、音が異なる言葉(あえて方言とは使わない)が多数存在するということ。まぁLINEのスタンプみたいな感じでしょうか。
それを踏まえるとユーロのような各地域の集合体であると。だから過去の中国は清や明や秦といった名前で区別される。だからこそ統一という戦争の歴史。それをまとめるための共産主義・中国共産党の支配。先ほど述べた漢字と言葉の持つ側面から生まれる科挙という上級公務員試験制度。
すべてが「なるほど!」腑に落ちます。

そこで日本を見ることへの意義がすごく出てきます。
江戸時代という長い長い幕府支配。漢字と仮名を組み合わせたことと識字率の関係性。
日本がなぜこんなに安全保障オンチなのか。国に対して期待することが他の国々と違う点。
などなど。

他に面白かった点は、
長い歴史の中では中国の方が圧倒的に日本よりも先進国であった時代が長いということ。日本が上に立って欧米列強的に中国よりパワーを持った(ように日本自身が感じてた?ともいえますが)のは、本当にここ数十年(大東亜戦争前位から)の出来事である。
それを踏まえてなぜ中国の近代化が遅れたのか。
日本人は字を知らないと言葉を知ったような気分なれないというような言葉の関係性。同音異義語の存在するおもしろさ。大喜利なんてまさにこれの最たる例かななんて思ったり。
最後に、満州国がどうして出来たのか。
あと3章の歴史問題をどう考えるかは僕には絶品でした。謝罪という言葉がよく両国の中で話題になりますが本質的な態度としての謝罪。これは日常生活色んなところでも役に立つ考え方を提示していてくれています。

昨今の中国との関係を見るにつけて、相手のことを知るという点でこの本は面白いと思います。
さて相手に知ってもらうために今から漢文で書き直すか。。。

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