火曜日, 12月 23, 2014

読んだ本・その41(184)

東京最後の異界 鶯谷 単行本
本橋 信宏 (著)
宝島社 (2013/12/13)

現代の男女の性や現代の風俗と言った各レイヤーによって切り取られた鶯谷は、歴史的な土地の流れと言う軸が刺さり文化や時代背景と言った飾りによって、その界隈の空気感を読者に伝えてきます。

欲望渦巻く街。この欲望は男性のものと連想した人は残念ながら浅はかと言えるかもしれません。女性側にも存在する欲望に目を背けた時点でこの本はノベル・フィクションになるでしょう。男性が欲望と言えば性的なモノが浮かびますが、女性に対してこれを投げると男性とは違った色を帯びるのではないでしょうか。

だからこそこの鶯谷と言う異界が存在がしうるのでしょう。

人間模様は以前ここでも書いた名前のない女たちに似ています。街としては同じく前出の色町の飛田の話との比較になるのでしょうか(吉原への玄関と言う意味でも)。

かと思えば、文化人の愛した街であり(正岡子規や林家三平)名店と言われるような老舗の店や料亭があり、下町としての風情もある。

本の中でも出てくるが大阪の西成・通天閣周辺といった描写に妙に腑に落ちた自分がいたのでした。

街の空気感とは何によって醸成されるのだろうか?流れと滞留という項があった。流れてもダメかけど、動かないのもだめ。そのバランス。
うーーん。都市計画とかはこのようなものも踏まえて設定するのならなんとも創造的な仕事だと思う。でも実際の思惑といがう形(そもそもそんな学術を語ることが野暮なのかもしれない)で存在する今の形の鶯谷は面白いですね。帰国時に寄りたい場所が増えました。

えっ!?何しに!?社会勉強ですよ。。。

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