木曜日, 11月 21, 2013

本の感想2013 No35 (その135)

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書) [新書]
輪島 裕介
光文社 (2010/10/15)

ここ最近は本の代わりに仕事関係の資料読みが多く、その上読み止しの本は読んだ所までの内容があやふやなので一度リセットしたせいで余計に、読むのが億劫になっていたのでした。

僕はもともと音楽には疎い人なので本の中に出てくる人の名前は知っていても、曲自体ののイメージは湧かないしちょっとこの本は大変でした。
以前友人に談志師匠の本を貸したとき落語のこととかよく分からないから難しかったと言わたのを思い出し、なるほどーこういうことかと腑に落ちたのでした。

さて内容ですが終盤になるにつれて面白さが出てきました。

演歌のルーツは浪曲にあり、また演歌は「演説の歌」だということ。そう昔は日本的な歌調というものではなく一つのスタイルとして、言ってしまえは平家物語を琵琶法師が語り部として全国津々浦々を回ったイメージでしょうか、歌謡曲的な要素とははなれていたこと。そして一時までは実際そう言った類のものであったこと。
レコード歌謡(ここでは現在の演歌というスタイルまだ確立していない)は他の古典芸能(浪曲ふくむ)と違ってGHQ下によって検閲の対象外となって、西洋的な音楽が普及する。それのアンチテーゼとしての曲のジャンル「艶歌」。そう左翼的というか政治的な背景もあった。
宇多田ひかるの母・藤圭子が艶歌(演歌と言う表記は意図的に後に広がる)に与えた影響。今のアイドルという地位の走り。今のアイドルが歌う歌から創造する、この変遷はおもしろいなぁと思った。
そして経済成長を進む日本明るい部分の裏返しの部分貧しさや土着といった文化表現の背景にそって任侠映画などと共に演歌(艶歌)のジャンルが確立する。
そこから現在までの歌謡曲の変遷を辿っていくと、演歌は演歌として存在したのではなく歴史の中で生まれた1つのスタイルで、必ずしも演歌=日本の心とひとくくりに出来ない流れがそこにはあるのでは?という問題提起

といったところでしょうか。
あとへーーって思ったのは

与作は音楽番組の応募曲がきっかけで生まれた。
川の流れのようにの作詞は秋元康

改めで文化(音楽や芸能、お笑いなど)の後ろにある社会的な流れ背景の影響って面白いと思った本でした。
カラオケでもいくか!笑

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