水曜日, 12月 01, 2010

書評 その38

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)
著:斎藤 環
出版社(発売日):講談社 (2009/9/17)

以前に流行った「地図をよめない*+&%」とは違うと筆者が本の中で語っていますが、かなり色々な側面から性(ジェンダー)というものが持つ男と女という「領域」(僕はあえてこう表現したい)について解説してくれています。

これは面白かった。過去の経験や自分の身の回りを振り返り納得する点も多く、そこからさらに深く考えるともっと面白いんだろうなと思いました。

生物学的視点、母子的視点、そして環境的な視点。
それぞれが空間的広がりのなかでオトコ的なものオンナ的なもの範囲というか概念を含み、そことの交差の中で生まれてくる定性的パターン。
そして特筆すべきは、筆者が精神鑑定といった精神科医の観点からこの話を見ていることだと思います。

少し話は飛びますが裁判員裁判に関する不安点で、宮崎哲弥さんなどがよく指摘されている「判決に精神鑑定が関係した場合の裁判員の判断」と言うのがあります。
この書には精神科医の分野で使用されたりするのかなと思うような用語が出てきます(分野外なので憶測かつ想像ですが)。読んでいてニュアンスは理解できるけど100%の理解は果たして難しかったと言うのが感想です。
新書と言う知的好奇心のトライでさえも難しい分野。それを裁判員として専門的知識がない人がフェアに鑑定結果を理解できるのか…。
かなり不安に感じたのが正直な所です。なので、ここで記しておこうと思います。

話を戻して、自分の存在としての定義としての男。これが色々なモノから成立して「きた」んだなと。身の回りを見渡して感じる次第です。これは僕はとても面白い本でした(全てに賛成ではなかったです、天皇制に関する辺りとか…)。
これが絶対ではないけ思うけど、こういう観点を知れたことはよかったと思います。

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