日曜日, 1月 05, 2014

読んだ本・その3(146)

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書) [単行本]
武田 尚子 (著)
中央公論新社 (2010/12)

以前に半分近く読んでいたのですが本を読まない空白の2ヶ月間に内容の大半を忘れてしまったので最初から読み直しました。

以前読んだバナナの歴史が面白かったので購入した本です。
チョコレートは今はそこら中にあふれていますが、やはりこれも最初は貴族階級とヨーロッパの植民地の影響で次第に広がっていった食べ物なんですね。砂糖やコーヒーも同じようです。
カカオからココアが出来てそれからチョコレートと発展していきます。

ココアは当初は薬として貴族の間で飲まれていたこと。フランス・スペイン・ポルトガルの南欧ルートとイギリス・オランダの北欧ルートの2つの道があった。あとこれは薬の話にも関わりますが、やはり宗教キリスト教(カトリックとプロテスタント)が普及に影響した。そして現代の飽食の時代でない当時のカロリーの補給の重要な役割を担い始めた。固形化に成功しチョコレートととなって戦争時など同様にカロリーの供給源として役割を果たす。

こういった流れがカカオからココアの抽出に始まり現代の嗜好品へまでの道筋で描かれてます。
興味深く読んだのは5章の「理想のチョコレート工場」と6章の「戦争とチョコレート」内に出てくるKit・Katにまつわる話です。
5章は労働意欲を高めるためにどういった試行錯誤によって工場を運営したか。これは今の社会でも十分応用可能な例だと思いました。特に女性労働者に対するアプローチに結構の紙幅が割かれています。とても興味深かかったです。
6章のKit・Katがどういうふうに作られ広がり普及したか。マーケティングや商品開発という部分で示唆に富んでました。これらはイギリスが舞台のお話ですが、それだけ産業革命で労働とエネルギー補給が密接にリンクしていたということでしょう。

食というのはやはり大きいウエイトを人間の活動に与えるなと。これは植民地支配にも関わるし、産業の発展や文化の醸成にも影響する。ティーという文化がティーパーティーとなり政治結社の土台になる。その食の安定供給のために化学や工学の発展とサイエンスの果たす役割。
衣食足りて礼節を知る
先人の言葉はさすがに偉大ですね。

チョコレートはアルコールに変わるエネルギー供給剤として活躍したようです。昔のイギリスのパブリック・スクール(かなりの伝統校でさえ)では生徒の朝食にビールが出たそうです。血糖値は上がるけどねぇ。

うらやましいなぁーーー。。。って、おい!

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